北陸新幹線

敦賀から新大阪まで

2016年12月、与党の整備新幹線プロジェクトチームが「小浜・京都ルート」を採用した。 ところが2025年12月、再編された与党PTがこれを検討し直すことになる。 8つの案を比べ直したうえで、2026年7月15日、与党整備委員会はふたたび同じルートで合意した。

ただし、決まったのはルートであって着工ではない。 委員会はこれを「着工が決定したルート」ではなく「今後、着工5条件の充足を図るルート」と位置づけている。 京都府と京都市の同意は、まだ得られていない。

2016年に比べた五つの案

琵琶湖東海道新幹線金沢方面(開業済み)敦賀小浜京都新大阪米原高島亀岡舞鶴12345
経由地を順に結んだ模式図。経路は決まっていないので、実際の線形ではない。太い線が2016年に採用された案。

2025年から2026年にかけての再検証で比べられたのは8案で、上の5案のほかに、 日本維新の会が示した案などが加わっている。この表は2016年の比較検討によるもの。

ルート主な経由地延長概算建設費所要時間
1小浜・京都ルート2016年に採用・2026年に再決定敦賀 – 小浜 – 京都 – 新大阪約140〜150km約2兆700〜2兆2,900億円約43〜46分
2米原ルート敦賀 – 米原約50km約5,900億円約1時間7分
3湖西ルート敦賀 – 高島 – 京都約81km約7,700億円約35分
4小浜ルート敦賀 – 小浜 – 亀岡 – 新大阪約123km約9,500億円約33分
5舞鶴ルート敦賀 – 小浜 – 舞鶴 – 京都 – 新大阪約190〜200km約2兆5,000〜2兆6,700億円約1時間0〜3分

何が争われているか

小浜・京都ルートは、京都府内を長いトンネルで抜ける。 京都市内では地下水への影響が懸念されている。 市はこのほかに、建設費の地元負担、工事で出る残土の処分、工事車両による渋滞を挙げている。

米原ルートは建設費が一桁少ない。ただし東海道新幹線に接続する形になるため、 直通できるのか、ダイヤに余裕があるのかが問われている。

着工5条件

整備新幹線は、次の5つが満たされたことを確かめてから工事に入る決まりになっている。 2026年7月の合意は、このうちどれかを満たしたものではない。

  1. 安定的な財源見通しの確保
  2. 収支採算性
  3. 投資効果
  4. 営業主体である JR の同意
  5. 並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意

京都の駅をどこに置くか

2024年8月に3案が公表され、同年12月に東西案が外れた。 残る2案から、2026年7月15日に桂川案が選ばれている。 京都駅の西およそ5km、JR桂川駅の付近に地下駅を置く案で、市の中心部は通らない。

駅の位置全体の延長京都駅の工期在来線への乗換
東西案2024年12月に候補外既存の京都駅に並行して設置約146kmおおむね28年約11分
南北案2026年7月に選ばれず京都駅の南側に新駅おおむね20年約13分
桂川案2026年7月に採用京都駅の西約5km、JR桂川駅付近の地下約139km約19分

東西案3案で最長。八条通の長期の交通規制が課題とされた

南北案京都駅部分の工期は最も短いが、概算事業費は最も高い

桂川案3案で最短、事業費も最低。京都駅から離れるためアクセスが課題

どれくらいかかるか

工期はおよそ26年。事業費は将来の物価高騰を見込んで約5兆5,000億円。2026年7月に与党整備委員会が示した数字で、2024年に案ごとの比較で出ていた額とは前提が違う。 着工が2027年度末までにできたとしても、走り出すのは2050年代になる。

経緯

1973年の整備計画は、主要経過地として「小浜市附近」を挙げている (歴史)。

  1. 与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームが中間報告をまとめる

  2. 同PTが「小浜・京都ルート」を正式に採用

  3. 京都〜新大阪について「南回りルート」を採用

  4. 京都駅の位置について「東西案」「南北案」「桂川案」の詳細ルート案が公表される

  5. 京都駅の位置に関する「東西案」がルート候補から外れる

  6. 自民党と日本維新の会で再編された与党PTが初会合。年内のルート決定と2026年度予算への着工費計上は困難との見通しが示される

  7. 2026年度政府予算案に、未着工区間は前年度と同額の事業推進調査費14.5億円のみ計上。本格着工は見送り

  8. 与党PTに、地下水への影響は限定的とする国土交通省・鉄道運輸機構の調査結果が示される

  9. 与党PTの整備委員会が開催される

  10. 整備委員会で国土交通省が8ルートの費用対効果(B/C)を示す。小浜・京都ルートが1.1、他の7ルートが1.0。延伸区間だけで見ると米原で乗り換える案が1.0で最も高く、小浜・京都ルートは0.5

  11. 与党整備委員会が「小浜・京都ルート」で合意。京都市内の新駅は、京都駅の西約5kmにあるJR桂川駅付近の地下に置く「桂川案」を採用した。工期はおよそ26年、建設費は将来の物価高騰を見込んで約5兆5,000億円。ただし委員会はこれを「着工が決定したルート」ではなく「今後、着工5条件の充足を図るルート」と位置づけており、京都府と京都市の同意はまだ得られていない

出典

2026-09-15 時点。各案の数値は前提の異なる概算で、並べて優劣を決められるものではありません。

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